トリコチロマニアに対する催眠療法の概要

概要

トリコチロマニアは衝動制御障害の一つで、本人の意志に反して髪の毛やまつげ、眉毛、ひげ、胸毛などを抜いてしまう衝動が止められません。抜いた部分ははっきりとしたハゲが残り、恥ずかしさや社会的孤立感を招くことがあります。米国トリコチロマニア学習センターによると、約200万〜1000万人がこの障害を抱えていると推定されています。男女ともに発症しますが、成人患者の80〜90%は女性です。原因は不明ですが、2006年のデューク大学医療センターの研究で、特定の遺伝子変異が関与している可能性が示唆されています。

治療法

催眠療法は、トリコチロマニアに対する有効な選択肢の一つです。催眠術師は主に次の二つのアプローチを取ります。

  • 間接的かつ穏やかな方法:抜く衝動が起きたときに、腕を撫でるなど別の行動に置き換えるよう暗示します。
  • 直接的な方法:髪を引く行為と不快感を結びつける暗示を行います。たとえば「髪を引くたびに頭皮が極度に敏感になり、触れるだけで痛みを感じる」と示す技法があります。

子どもへの適用

研究では、過干渉な親が子どもの自主性を尊重し、催眠療法と併せて親の接し方を改善した場合、子どもは大きな効果を示すことが分かっています。2003年に『American Journal of Clinical Hypnosis』に掲載された研究では、3人の子どもが7回の催眠セッションと親の行動変容により毛抜き行為を止め、6か月後の追跡調査でも再発が見られませんでした。

催眠の仕組みと手順

催眠は、睡眠状態ではなく「トランス」――深い集中状態――に入ることで、目的に合致した暗示が受け入れやすくなるという前提に基づきます。視覚化されたイメージは鮮明かつ強烈に感じられますが、自己の意思を超えて行動させられることはありません。通常のセッションは30分から60分程度で、終了後に記憶が残るかどうかは個人差があります。

留意点

全体の約15〜20%の人は催眠にかかりにくいとされています。しかし、Binghamton大学の心理学教授スティーブン・リン博士の研究によれば、催眠に関する誤解(例:催眠術師が恥ずかしい行為を強要する)を正しく学ぶことで、これらの人でも暗示受容性が高まることが示されています。

催眠術師の選び方

「認定」された一般の催眠術師でも簡単な問題には対応できるケースがありますが、どの程度の訓練を受けているかは見極めが難しいです。最も信頼できる認定機関は、米国臨床催眠学会(American Society of Clinical Hypnosis)です。

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