嚢胞性線維症で障害される正常な機能とは?
嚢胞性線維症(CF)は、CFTR遺伝子の変異により、上皮細胞膜を介した塩化物イオンとナトリウムイオンの輸送調整が正常に機能しなくなる遺伝性疾患です。
CFTRが担う主な機能
1. 塩化物イオンの輸送
CFTRは塩化物チャネルとして働き、上皮細胞膜を通してCl⁻イオンを通過させます。このプロセスは肺、膵臓、腸、汗腺などの臓器でイオンと体液のバランスを保つために不可欠です。
2. ナトリウムイオンの輸送
塩化物イオンの流れが電位勾配を作り、Na⁺イオンの移動を促します。塩化物とナトリウムの協調輸送は、上皮細胞層を横断する水分の移動を調整します。
3. 粘液の保湿
肺の気道では、CFTRが媒介するイオン輸送により薄く水分の多い粘液層が維持されます。この粘液は細菌や異物を捕捉し、感染から保護するバリアとして機能します。
4. 膵臓の機能
膵臓ではCFTRが重炭酸イオン(HCO₃⁻)の分泌に関与し、膵液の酸性を中和します。これにより栄養素の適切な消化・吸収が可能になります。
5. 汗腺の機能
汗が分泌される際、CFTRは塩化物とナトリウムイオンを汗に放出させ、汗の塩分濃度を決定します。
CF患者ではCFTR遺伝子変異によりこれらの機能が障害され、塩化物・ナトリウム輸送が低下し、粘液が濃厚で粘着性になり、汗の塩分濃度が上昇するなど、病気特有の症状が現れます。
