ウィルソン症候群と甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症
甲状腺は体温や代謝を調節するホルモンを分泌しますが、ストレスや他の要因で機能が低下すると、甲状腺機能低下症(hypothyroidism)となります。主な症状は関節痛、肥満、心臓疾患、そして常に寒さを感じる体温低下です。
ウィルソン症候群の理論
ウィルソン症候群は、精神的・身体的・感情的な大きなストレスがかかると代謝が低下し、体温が下がるという現象に注目しています。ウィルソンは、体がエネルギーを節約しようとする自然な反応が、代謝バランスを元に戻すことなく続くため、甲状腺検査は正常でも低体温や甲状腺機能低下症様の症状が現れると主張しています。
提案された治療法
ウィルソンは、トリヨードサイロニン(T3)を投与するホルモン療法を推奨しています。体内では甲状腺がチロキシン(T4)を産生し、組織でT3に変換されて代謝を調整します。ウィルソンはT4は正常範囲にあるとし、最終産物であるT3を増やすことで代謝を正常化しようとします。
批判と否定的見解
米国甲状腺協会(ATA)は、ウィルソン症候群を実体のない症候群とし、慢性疲労症候群、エプスタイン・バーウイルス感染、カンジダ症など既知の疾患の症状をひとまとめにしたものと指摘しています。また、体温の正常範囲を過度に狭く設定し、T3投与は骨や心臓に害を及ぼす可能性があると警告しています。
考慮すべき点
ストレス後の甲状腺機能低下は認められていますが、ATAはこの場合T4の補充を推奨しています。T4は体内で慎重にT3へ変換されるため、余計にT3を投与すると血中T3濃度が危険なレベルに上昇し、骨粗鬆症や心血管障害を招く恐れがあります。症状がある場合は、ウィルソン症候群の治療は科学的根拠が確立されるまで控えるべきです。
