ヘリコバクター・ピロリの検査と診断方法

ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は胃の粘膜に生息する細菌で、胃炎や潰瘍、さらには胃がんのリスクを高めます。世界人口の約2/3が感染しており、米国では高齢者や低所得層に多く、開発途上国では感染率が90%に達することもあります。

ヘリコバクター・ピロリと潰瘍

20年以上前に、H. pylori が胃潰瘍や胃炎の原因のひとつであることが明らかになりました。なぜ多数が感染していても潰瘍を発症する人が限られるのかは、完全には解明されていません。潰瘍ができると胃粘膜が弱くなり、胃酸の腐食に耐えられなくなります。その結果、穿孔が起きて細菌や未消化の食物が腹腔に漏れ、致命的な腹膜炎を引き起こすことがあります。米国では毎年約15,000人が腹膜炎の合併症で死亡しています。

H. pylori による潰瘍のリスクを高める要因として、胃の免疫応答の異常や、コーヒー、喫煙、過度のアルコール摂取といった生活習慣が挙げられます。

血液検査

最も一般的な検査は血清抗体検査です。血中に H. pylori に対する抗体が存在すれば、現在感染しているか過去に感染したことがあると判断できます。費用が安く、感度・特異度も高いので診断に広く用いられます。ただし、治療後も抗体が残るため、治癒確認には適しません。

便中抗原検査

便サンプルを用いた抗原検査は、現在の感染状態を高い精度で評価できます。抗原は細菌そのものに由来し、特異的に検出できるため、診断後のフォローアップにも利用されます。

呼気テスト(ウレア呼気試験)

ウレア呼気テストは、患者が放射性または安定同位体の炭素を含むウレア溶液を飲み、胃内の H. pylori がウレアを分解して二酸化炭素を放出するかを測定します。感染があると呼気中に特定の炭素が検出されます。治療効果の確認にも広く用いられ、非侵襲的で信頼性が高い方法です。

症状が持続する場合は、まず呼気テストや便中抗原検査で H. pylori の有無を確認し、陰性の場合に内視鏡検査を検討します。

組織検査(生検)

内視鏡を用いて胃粘膜から組織サンプルを採取し、顕微鏡で H. pylori の有無を直接確認します。細菌は小さなコロニーを形成するため、採取部位によっては見逃す可能性があります。そのため、血液・呼気・便検査で陽性が確認された後に実施されることが一般的です。

血液、呼気、便の各検査は侵襲性が低く、精度も高いため、まずはこれらの非侵襲的検査で診断し、必要に応じて生検を行うのが標準的な流れです。

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