前立腺の健康状態が尿失禁に与える影響とは

健康な前立腺はくるみ大の大きさで、普段は意識されません。しかし加齢とともに前立腺が肥大したり、炎症を起こしたりすると、尿路症状が現れます。その中でも尿失禁—尿が思わず漏れる状態—は、60歳以上の男性の約15%で前立腺疾患や他の医学的要因により起こります。

解剖学的な関係

前立腺は膀胱頸部のすぐ横に位置し、尿道を取り囲んでいます。そのため、前立腺の大きさや形状が変化すると尿道が圧迫され、尿の流れが遅くなり、膀胱がより大きな圧力に逆らって排尿しなければならなくなります。結果として排尿困難や膀胱の残尿が起こり、場合によっては失禁につながります。

炎症の影響

前立腺炎は前立腺が腫れ、圧迫感や痛みを伴う炎症性疾患です。腫れた前立腺が尿道を押しつぶすと尿の流れが阻害され、膀胱筋が刺激されやすくなります。主な症状は骨盤痛、排尿時の痛みや困難、頻尿・切迫感、そして時に失禁です。細菌感染が原因がある場合もありますが、多くは原因不明で数か月続くことがあります。

前立腺肥大(BPH)の影響

良性前立腺肥大(BPH)は、60代で半数以上、70代で90%近くの男性に見られる非癌性の肥大です。前立腺が肥大すると尿道が狭くなり、膀胱が完全に空にならなくなります。時間が経つと膀胱壁が伸びて弾力を失い、尿が漏れやすくなります。BPHの代表的な症状は、排尿困難、夜間頻尿、尿流の弱さ、排尿後の残尿感、切迫感です。

がん治療と失禁

前立腺がん自体が失禁を直接引き起こすことは少ないですが、治療過程で失禁リスクが高まります。前立腺全摘術(根治的前立腺切除)では尿道の一部も除去され、膀胱括約筋が損傷する可能性があります。手術後数週間から数か月の失禁は一般的で、長期的に失禁が続くのは10%未満です。放射線治療も膀胱を刺激または損傷し、失禁を招くことがあります。

失禁への対策

前立腺に起因する尿症状が疑われる場合は、まず医師に相談しましょう。症状の程度や前立腺の状態に応じて、さまざまな治療法が選択できます。軽度の失禁には使い捨ての吸収パッドや専用下着が有効です。また、飲料量を調整し、膀胱が過度に膨らむのを防ぐために定期的にトイレに行く習慣や、骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)も効果的です。重度の場合は薬物療法や手術が検討されます。

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