インフルエンザを引き起こすウイルスとは
古代ギリシャの神話に登場するパンドラの箱は、好奇心旺盛なパンドラが開けたことで世界中に病や災いが解き放たれたと語られています。医学の進歩により、微小な病原体が病気の原因であることは解明されましたが、感染症との闘いは今も続いています。インフルエンザは毎年数百万人が罹患し、一部の人々にとっては致命的になることもある代表的な呼吸器感染症です。
インフルエンザウイルスの種類
インフルエンザA型
インフルエンザA型は最も注目されるウイルスで、1918年や2009年の大流行の原因となりました。10種類の血清型(サブタイプ)に分類され、代表的なものにH1N1(「豚インフルエンザ」)やH5N1(「鳥インフルエンザ」)があります。A型ウイルスは変異しやすく、パンデミックのリスクが高いとされています。
インフルエンザB型
B型は主にヒトに感染し、アザラシやフェレットでも報告されています。変異速度がA型に比べて遅く、既知の血清型は1つだけです。そのため、幼少期に免疫が形成されやすいものの、永続的な免疫は得られません。B型が大規模なパンデミックを起こす可能性は極めて低いです。
インフルエンザC型
C型はA型とB型の中間的な存在で、血清型は1つだけです。ヒトだけでなく、犬や豚にも感染し、地域的な流行は起こりますが症状は軽く、風邪と間違われることもあります。
治療と予防
インフルエンザの主な症状は、発熱、頭痛、倦怠感、咳、喉の痛み、鼻水や鼻づまり、筋肉痛、下痢・嘔吐などです。市販の解熱鎮痛剤で症状は緩和できますが、ウイルス自体を除去することはできません。予防の第一線はワクチン接種と手洗いなどの基本的な衛生管理です。抗生物質はインフルエンザに効果がありません。抗ウイルス薬としては、ノイラミニダーゼ阻害薬とM2タンパク質阻害薬がありますが、変異が早いため耐性が問題となっています。
