前方肩脱臼の整復法と手順
肩関節とは
肩関節は球関節(ボール&ソケット)で、上腕骨頭(ボール)が肩甲骨の関節窩(ソケット)に入って動きます。上腕骨頭が関節窩から外れると脱臼が起こります。脱臼は前方(前方脱臼)と後方(後方脱臼)に分かれ、前方脱臼は救急外来で肩の痛みを訴える患者のほとんどを占め、全救急受診の約2%に相当します。特に子供は骨や軟骨が未熟なため、成人より前方脱臼が多く見られます。
整復治療(肩関節脱臼のリダクション)
肩関節脱臼の治療は「整復」と呼ばれ、脱臼した肩を正しい位置に戻す手技です。医師は軽く、しかし確実な圧力と適度なテコの原理を用いて上腕骨頭を関節窩へ戻します。痛みの程度や患者の状態に応じて、軽い鎮静を行うこともあります。整復は数回試みられることがあり、成功までに時間がかかる場合もあります。
代表的な整復法:コッヘー法
コッヘー法は最も広く教えられる整復手技の一つです。医師は患者の腕を外旋させ、手のひらを上に向けます。腕を体側から外側に伸ばし、肘を胸部に沿って患者の正中線へと滑らせます。十分なテコの力を利用して、上腕骨頭を関節窩に再挿入します。
代替法:ミルヒ法
ミルヒ法では、患者を仰向けに寝かせ、腕を頭上に持ち上げます。医師は親指で上腕骨頭を安定させながら、腕に牽引力を加えます。腕を90度に屈曲させた状態で親指で圧を加えると、上腕骨頭が関節窓へ滑り込みます。場合によっては、屈曲した腕を患者の頭部の後ろに置き、牽引力を増大させて必要な圧力を減らすことがあります。
