EMR(電子医療記録)の落とし穴と課題

電子医療記録(EMR)は、患者の症状・既往歴・治療内容を紙ではなくデジタルで管理するシステムです。情報の可視化や整理には大きな利点がありますが、導入に伴う問題点も少なくありません。

情報伝達の層が増える

EMR導入により、診療の一部で情報伝達の層が増えるケースがあります。多くの医師は診察中にパソコンを持ち歩かないため、まず紙にメモし、診療後にシステムへ入力します。この二重作業により、メモを書き忘れた情報は電子記録に残らず、次の担当医が把握できなくなるリスクがあります。また、転記作業を医師自身が行うため、負担が集中しミスが起きやすくなります。

高額な導入・維持コスト

EMRシステムは導入費用だけでなく、設置・保守にかかる人件費も高額です。このコストは保険会社を通じて最終的に患者に転嫁されます。さらに、診療後のデータ入力に時間がかかり、医師が本来の診療以外の事務作業に時間を割くことになり、リソースの非効率な配分となります。

患者との対話が減少

画面を見ながらの入力は、医師や看護師の視線や注意を奪います。例えば、助産師が新生児のケア中にEMRに情報を入力すると、赤ちゃんと直接向き合う時間が減り、適切なアドバイスや生活指導が不足する恐れがあります。診断・治療に集中すべき場面で画面に注意が向くことは、患者ケアの質を低下させます。

まとめ

EMRは医療情報の管理を効率化する可能性を持つ一方、情報伝達の二重化や高コスト、患者との対話減少といった落とし穴があります。システム導入時には、これらの課題を踏まえた運用改善が求められます。

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