研究におけるHIPAA規制の簡素化
1996年に制定された医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)のプライバシー規則は、医療研究者が患者の医療記録から取得できる情報の種類と取得条件を定めています。近年、研究目的での情報利用が円滑になるよう規則が簡素化されました。
患者の同意(Patient Authorization)
研究者は、患者が署名した書面による同意書を提出すれば、病院から医療記録の情報を取得できます。たとえば、臨床試験の参加者が医師に対し、特定の診療情報を研究者に提供するよう許可することが可能です。患者はいつでも同意書を取り消すことができ、プライバシー規則に基づき情報提供は停止されます。
事前調査(Preparatory Research)
研究者は、研究計画の実現可能性を評価するために、患者記録の閲覧を病院に依頼できます。対象者の選定に必要な情報を確認することは許可されていますが、患者に直接連絡したり、記録を病院外に持ち出したりすることは禁じられています。これは米国保健福祉省(HHS)が示すプライバシー規則のガイダンスに基づくものです。
IRB(倫理審査委員会)承認
病院や保険プランは、倫理審査委員会(IRB)やプライバシー委員会が個別同意の免除を認めた旨の文書を受領した場合に限り、研究者に患者情報へのアクセスを許可できます。IRB は、人間を対象とした研究の倫理性を審査し、データがなければ研究が進行できないと判断したときに同意免除を許可します。
匿名化データ(De‑Identified Data)
HIPAA のプライバシー規則では、氏名・住所・年齢・写真・生体認証情報など 18 種類の識別子を除去した匿名化データへのアクセスが認められています。
限定データセット(Limited Data Set)
病院は研究機関と契約を結び、限定データセットの共有を許可することがあります。限定データセットは匿名化データより情報が多いものの、個人を直接特定できる情報や患者の親族・雇用者・世帯メンバーに関する情報は除外されます。研究者は契約で定められた目的以外にデータを使用・開示できず、再識別や個人へのコンタクトは禁じられています。
旧規定の同意(Grandfathered Consent)
プライバシー規則が施行される前に取得した書面同意書や、IRB が承認した同意免除がある場合、病院はその文書に基づき患者の保護された健康情報を研究者に提供できます。この同意は、特定の研究だけでなく、将来的に実施される未定の研究にも適用されます。
