双極性障害治療における心理的アプローチ
家族焦点療法
家族焦点療法は、原因に関係なく家族全員を治療の中心に据える心理療法です。家族の役割や関係性を探り、問題の根本よりも現在のダイナミクスに焦点を当てます。カナダ精神医学レビューの研究では、9か月間に21回の1時間セッションを行った結果、双極性障害の再発抑制やうつ症状の予防に有効であることが示されました。ただし、時間と労力が必要な点は留意すべきです。
双極性障害とは
双極性障害は、DSM‑IV が定義する気分障害の一つです。双極Ⅰ型では、極端な躁状態と抑うつ状態が交互に現れ、数週間から数か月続くことがあります。双極Ⅱ型は、軽度の躁(軽躁)と抑うつが交互に現れ、うち抑うつエピソードが長引く傾向があります。さらに、急速サイクル型では、気分の変動が週単位、日単位、あるいは24時間以内に起こることがあります。
教育(エデュケーション)
患者と家族への教育は、双極性障害治療の基盤です。トリガーとなる要因や自分の気分変動のサインを把握できれば、早期に対処策を講じやすくなります。例えば、双極Ⅱ型患者は軽躁と抑うつの両方を経験しますが、軽躁は比較的コントロールしやすい一方で、慢性的な抑うつは自殺リスクを高めます。こうした知識を持つことで、患者はうつ状態に陥りそうなときのコンティンジェンシープラン(対策)を事前に設定できます。
認知行動療法(CBT)アプローチ
認知行動療法は、患者の思考、感情、行動を体系的に分析し、否定的な自動思考を特定・修正する手法です。例えば、患者が躁的な行動を起こしそうになるときに浮かぶ「自分は特別だ」「失敗できない」といった思考を検討し、より現実的で適応的な考え方へ置き換える練習を行います。
規則的な生活リズム
睡眠・服薬・日常活動のリズムを一定に保つことは、気分の変動を抑える重要なポイントです。患者は気分チャートを用いて、毎日の気分(躁〜抑うつ)、イライラ度、服薬状況、睡眠時間、重要な出来事などを記録します。これによりパターンが可視化され、必要に応じて薬剤量の調整やトリガー回避の方策を検討できます。
