IQ測定の代替手段
IQという概念は、軍事と教育の研究から生まれました。第一次世界大戦中、ロバート・ヤークス率いる心理学者チームが軍人向けに個別IQテストを開発し、同時期にフランスのアルフレッド・ビネが子どもの学習適性を測るためのテストを作成しました。これが後にスタンフォード‑ビネ知能検査として広く普及しました。過去30年ほどは、ウェクスラー式テストが標準とされ、言語・非言語の知能、処理速度、作業記憶を測りますが、運動機能や言語能力に依存する面があるため、他の代替測定法も検討されています。
レイヴンの進行行列テスト(Raven's Progressive Matrices)
スタンフォード‑ビネやウェクスラーと異なり、言語能力をほとんど必要としない視覚的帰納推理テストです。60項目を5セットに分け、欠けたパターンの欠片を選択肢から選ぶ形式です。非言語・文化的バイアスが少ないため、IQの代替測定として広く利用されています。
クイックテスト・オブ・インテリジェンス(Quick Test of Intelligence)
1962年にロバート・アモンズとキャロル・アモンズ夫婦が開発しました。被験者に4つの場面が描かれたスライドを見せ、提示された単語に合致する絵を指させるだけの受動的語彙テストです。口頭での回答は不要で、時間制限もありません。そのため、処理速度や運動機能が低下している人でも実施可能で、全体IQと精神年齢を算出します。
投影法テスト(Projective Testing)
投影法は主に心理診断に用いられますが、IQ測定に役立つ要素も含みます。例としてハーマン・ロールシャッハが1921年に発表したロールシャッハ・インクブロットテストがあります。10枚のインクブロットに対する被験者の自由連想を採点し、回答数や内容のパターンから知能の指標が推測されます。時間制限がなく、繰り返し実施できるため、平均以下のIQが疑われるケースでの補助的手段として有用です。
IQテスト全般への注意点
IQテストは高度に標準化された手法で、信頼できる正規データが蓄積されています。オンラインゲームなどで提供される簡易テストは概算としては便利ですが、正式なIQ測定は資格を有する臨床心理士が実施する対面式の評価が必要です。
