若者に起こる記憶喪失の主な原因と対策
人は短期記憶と長期記憶の二つを持っています。短期記憶は数時間以内に得た情報を保持し、長期記憶は長期間にわたって思考や出来事を保存します。短期記憶が長期記憶へと転送される過程は「長期増強(LTP)」と呼ばれます。記憶喪失(アムネジア)は、原因に応じて短期記憶、長期記憶、あるいは両方が失われることがあります。
薬物乱用
LSD、コカイン、PCP などの覚醒剤や幻覚剤は若者の記憶力に深刻な影響を与えます。使用をやめれば記憶は徐々に回復することがありますが、学業の遅れや学習困難を招くことも少なくありません。
トラウマ体験
親の死や性的暴行といった強いショックは、感情的だけでなく脳にも大きなダメージを与えます。衝撃的な出来事は部分的な逆行性健忘を引き起こし、当事者はその出来事や細部を思い出せなくなることがあります。回復の程度は個人差が大きく、終生記憶しない人もいれば、後年に思い出す人もいます。
頭部外傷
スポーツや事故による頭部外傷(外傷性脳損傷)は、短期記憶の欠損をもたらすことが多いです。損傷の程度が重い場合、長期記憶にも影響が及び、事故の記憶すら残らないことがあります。
慢性的なストレス
適度なストレスはやる気を引き出しますが、過度のストレスが続くと脳はコルチゾールというホルモンを大量に分泌します。コルチゾールは記憶の形成に関わる海馬を障害し、短期記憶から長期記憶への変換がうまくいかなくなります。
ビタミンB1(チアミン)欠乏
ビタミンB1不足はウェルニッケ・コルサコフ症候群として知られ、若者の記憶喪失の原因となります。栄養失調やアルコール依存が主な原因で、放置すると認知症や短期・長期記憶の断絶を招きます。
これらの要因は単独でも複合でも若者の記憶機能に影響を与えるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
