子どもに対するADHD診断は過剰か?

ADHDは衝動性・多動性・注意欠陥を特徴とする神経発達障害です。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、2006年時点で5〜17歳の子ども約450万人がADHDと診断されています。

歴史

1902年、ジョージ・F・スティル卿はロイヤル・カレッジ・オブ・フィジシャンズで講演を行い、過活動で注意散漫な子どもたちについて報告しました。スティルは遺伝的要因を指摘しましたが、当時は「注意欠陥多動性障害(ADHD)」という名称は使われていませんでした。正式にADHDという名称が採用されたのは、米国精神医学会が1980年に診断名として定めたときです。

統計と過診断の可能性

CDCのデータは、1997年から2006年までの10年間でADHD診断件数が年平均3%増加したことを示しています。また、米国麻薬取締局(DEA)の統計によると、1991年以降、ADHD治療薬の処方件数は500%増加しました。米国前外科医長デイビッド・サッチャーは、処方増加は診断と治療の向上によるものと指摘していますが、同時に過診断の懸念も示されています。

診断基準の拡大

1994年、米国精神医学会はADHDの診断基準を拡大しました。この基準変更は、診断件数の急増を説明する一因と考えられています。ニューヨーク大学小児研究センターのハワード・アビコフ研究所長は、基準拡大とADHDへの認識向上が診断増加に寄与したと述べていますが、拡大された基準は広範な研究とデータに基づくものであると支持しています。

薬物治療と学業成績

米国国立精神衛生研究所(NIMH)の報告によれば、ADHD薬を服用する子どもは小学校での成績が向上するとされています。カリフォルニア大学バークレー校の研究では、薬を服用したADHD児は非服用児に比べて読解力が5.4点高い結果が示されました。これらの結果は薬物治療が注意力や記憶力を改善し、学業に好影響を与えることを示唆しています。一方で、2007年に『Journal of Attention Disorders』に掲載された研究は、過剰診断児の数は偽陰性(診断されていないADHD児)とほぼ同程度であると結論付け、過診断の懸念を一定程度和らげています。

注意すべき点

ADHDと診断された子どもの90%以上がリタリン(メチルフェニデート)を処方されます。リタリンは中枢刺激薬であり、心臓疾患を抱える子どもにとってはリスクが高まります。そのため、ADHDと診断される前に正確な評価が不可欠です。米国心臓協会は、薬物療法開始前に心臓の検査を受けることを推奨しています。

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