概要

米国国立薬物乱用研究所(NIDA)のデータによると、薬物乱用にかかる医療費・犯罪関連費用・生産性低下を合わせて、年間約0.5兆ドルが費やされています。メディケア支出の25%、メディケイド支出の約20%が薬物依存関連の疾病や状態に充てられており、薬物依存の経済的負担は他の脳機能障害の2倍に上ります。

犯罪に伴うコスト

1985年以降、薬物関連犯罪者は州刑務所収容者数増加の80%を占めており、収容者の約75%が生涯にわたり薬物を常用していたと報告されています。これにより、治安維持や司法手続きにかかる費用が大幅に増加しています。

個人と家族への影響

薬物依存者は安定した雇用を得にくく、収入が途絶えると自らの習慣を維持するために他者(友人や家族)に経済的支援を求めることになります。依存者が家族を持つ場合、住居や食料の確保すら公的支援に頼らざるを得なくなるケースも少なくありません。このように、依存者は自身だけでなく周囲の人々にも経済的負担を押し付け、社会全体の生産性を低下させます。

予防と治療の効果

薬物依存は慢性疾患と同様に予防と治療が可能です。NIDAのVolkow博士は、予防に1ドル投資すると医療費と刑事司法費用で7ドルの節約になると指摘しています。治療に1ドル投資した場合、刑事司法費用で4〜7ドル、救急医療で3〜5ドル、女性依存者の公的扶助費用で4ドル、男性依存者の生産性向上で7ドルの効果が期待できます。

専門家の見解

予防・治療にかかる費用は決して小さくありませんが、何もしないまま放置すれば、薬物依存が社会全体と個人に与える経済的損失はさらに拡大する一方です。