高齢者の不安と鬱病を治療する薬
不安障害と大うつ病は、しばしば併発しやすく、米国不安障害協会(ADAA)によると、うつ病と診断された患者の約半数が不安障害も呈し、逆に不安障害患者の約25%が大うつ病と診断されます。どちらも高齢者に多く見られ、適切な薬物療法により十分にコントロール可能です。
不安
高齢者に最も一般的に見られる精神疾患の一つです。過度な恐怖感やパニック、筋緊張、睡眠障害、倦怠感などが現れ、治療しないまま放置すると仕事や人間関係、日常生活に支障をきたします。
うつ病
一時的な「憂鬱」や悲しみとは異なり、思考・感情・行動・身体健康にまで影響を及ぼす深刻な疾患です。極度のエネルギー低下、日常動作の困難、集中力の低下、絶望感や自殺念慮、食欲変化などが主な症状です。
不安に用いられる薬
ベンゾジアゼピン系(例:アルプラゾラム(Xanax)、ジアゼパム(Valium)、アクティバン)などは速効性がありますが、依存や耐性が生じやすく、通常は短期間の使用に限定されます。
うつ病に用いられる薬
抗うつ薬は脳内の化学バランスを調整し、症状を緩和します。効果が現れるまでに6〜8週間かかることが多く、医師の指示なしに中止しないことが重要です。例としてウェルブトリン(Wellbutrin)は有効ですが、不安を伴う患者には推奨されません。
不安・うつ病の両方に効果的な薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は本来うつ病治療薬として開発されましたが、不安症状にも有効です。セロトニンのバランスを整えることで気分を安定させます。代表的な薬剤にはレキシプロ(Escitalopram)、ゾロフト(Sertraline)、パキシル(Paroxetine)、プロザック(Fluoxetine)などがあります。ワシントン大学医学部の研究では、レキシプロ投与群で約4週間後に不安症状と日常機能の改善が認められました。
