Bt作物の環境への影響は何ですか?
バチルス・チューリンゲンシス(Bt)は土壌に広く存在する細菌で、昆虫に対する殺虫タンパク質を産生します。このタンパク質を遺伝子組み換えでトウモロコシや綿花などの作物に導入し、害虫被害を抑える技術が1990年代初頭に実用化されました。これまでの研究では、Bt作物が人の健康や環境に直接的な危険をもたらす証拠は確認されていません。
Cryタンパク質
Btが産生するCryタンパク質は殺虫作用を持ちます。2009年7月号の『Bulletin of Environmental Contamination and Toxicology』に掲載された研究では、前年度にBtトウモロコシを栽培した土壌から、バジル、ニンジン、ケール、ラディッシュ、スナップエンドウ、ダイズなどの植物にCryタンパク質が検出されたと報告されています。一方、同じ畑で栽培したビートやホウレンソウでは検出されませんでした。研究者は、結果の再現性を確認するためにさらなる調査が必要だと指摘しています。
Btが他の生物に与える影響
世界中で広く栽培されているBt作物ですが、非標的生物への影響が懸念されてきました。2011年5月号の『Journal of Integrative Biology』に掲載されたレビューでは、過去5年間の研究データを総合的に分析し、植物や動物を含む非標的生物に対する有害な影響は報告されていないと結論付けられました。
ミツバチとBt作物
ミツバチ(Bombus terrestris)の個体数は近年減少傾向にあり、農薬が一因と考えられています。2010年5月号の『Pest Management Science』に掲載された研究では、商業用Bt株2種がミツバチの採餌行動に与える影響を実験室で培養したコロニーを用いて調査しました。その結果、どちらのBt株に曝露しても採餌行動に有意な変化は見られませんでした。ただし、環境中のBt製品の実際の濃度に関する情報が不足しているため、確定的な結論を出すには追加のデータが必要です。
土壌への影響
Bt綿花が土壌環境に与える影響を調べるため、受粉を防ぐネット下で栽培されたBt綿花の土壌サンプルを採取し、炭素・窒素・リンの含有量や酵素活性を分析しました(2009年9月号『Environmental Monitoring and Assessment』)。分析結果は、Bt作物の栽培が土壌の生態系にリスクをもたらさないことを示しています。
