放射性物質とはどのようなものですか?

放射性物質とは、原子核が不安定な元素のことです。この不安定さにより、原子核はエネルギーを放出(放射)します。放射されるエネルギーは主にα粒子、β粒子、γ線の3種類があります。これらの放射線は、適切な条件下ではごく少量でも人体の細胞を損傷させる可能性があります。

自然放射性物質(NORM)

放射線は地球環境の一部であり、自然に存在する放射性物質が多数あります。これらは「自然放射性物質(NORM)」と呼ばれます。代表的なものはウランで、他にもトリウム、トリチウム、ラドン、放射性カリウムなどがあります。多くのNORMは自然に広く分布しているため、人体へのリスクは比較的低いですが、石油・ガス採掘などの人為的活動により濃縮されると、健康への脅威が大きくなります。たとえば、掘削作業ではラジウム、ストロンチウム、イオン化カルシウムが集中的に蓄積されます。

核産業での利用

人為的に作られる放射性物質は、自然放射性物質よりも高い放射能を持ちます。代表的なものは核燃料や核兵器の材料として使用されるプルトニウムと濃縮ウランです。また、ウラン濃縮や原子力発電の過程で生じる廃棄物も重要です。特に2011年の福島原子力事故で問題となったのは、冷却水が循環しないまま燃料が燃え尽きた際に放出されたセシウム‑137とヨウ素‑132です。

日常での利用例

少量の放射性物質は核産業以外でも利用されています。最も広く知られているのはがん治療です。その他、炭素‑14は考古学で年代測定に、クリプトン‑85は家庭用インジケータ灯に、カリフォルニウム‑252は空港での爆発物検査に、アメリシウム‑241は家庭用煙探知機に、プロメチウム‑147は電気毛布のサーモスタットに使用されています。これらは低レベルのα放射体であり、体内に取り込まれなければ大きな危険はありません。

枯渇ウラン

米軍が装甲貫通弾に使用する枯渇ウラン弾薬では、飲み込みや吸入が主な懸念事項です。ウランの高密度が貫通力の源であり、α放射体としては低レベルですが、体内に取り込まれた場合、α粒子は細胞壁付近で強い変異原性を示します。したがって、吸入や摂取による健康リスクが指摘されています。

公衆衛生 - 関連記事