人類への世界的な窒素循環の影響

窒素循環への人間の影響

ハーバー法が開発されたことで、自然界の窒素固定を人工的に模倣し、窒素をアンモニアに変換して肥料として利用できるようになりました。この肥料の大半は地下水に浸透し、年間約80メガトンの窒素が循環に追加されています。一方、エネルギー源として依然化石燃料が主流であり、これにより二酸化窒素や亜酸化窒素などの窒素化合物が年間20メガトン以上大気中に放出され、温室効果ガスとして作用しています。

水中の窒素

世界保健機関(WHO)が定めた飲料水中の硝酸塩基準値は45 mg/Lですが、多くの地域でこの基準を超えています。米国でも地下水の約20%が肥料や畜産からの汚染とみなされています。硝酸塩は潜在的に発がん性があり、基準値以下でも非ホジキンリンパ腫や膀胱がん、卵巣がんのリスクが上昇します。また、メトヘモグロビン血症(いわゆるブルーベイビー症候群)などの生殖系疾患とも関連しています。

大気中の窒素

低層大気に滞留する有害な窒素酸化物はオゾン生成を促進し、肺に付着して喘息や反応性気道疾患(RAD)を引き起こします。さらに、反応性窒素は心肺疾患、がん、ヒトライノウイルス感染の感受性増大の原因ともなります。開発途上国では窒素関連の大気汚染により、毎年約200万人が死亡していると推計されています。

間接的な影響

大気・水中の窒素化合物は陸上・水中の生態系に波及し、人間の健康リスクを拡大させます。例えば、窒素過剰により有害藻類が繁殖し、これを摂取した二枚貝が食中毒や神経障害・麻痺症を引き起こすケースがあります。また、窒素濃度が上昇すると蚊の繁殖が促進され、マラリアやウエストナイルウイルス感染のリスクが高まります。さらに、コレラの原因菌であるビブリオ属は窒素濃度上昇と相関しています。

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