血液寒天培地で観察できる3種類の溶血
溶血とは
溶血は赤血球が破壊される現象です。微生物学では、血液寒天培地上で細菌が示す溶血の有無・程度で分類され、α、β、γの3タイプがあります。各タイプは、細菌が分泌する溶血素(ヘモリシン)の性質により血球の変化が異なります。
α溶血(アルファ溶血)
培地の赤色が暗緑色に変化します。これは細菌が分泌する過酸化水素がヘモグロビンを酸化し、メトヘモグロビンに変化させるためです。血球は完全には破壊されず、部分的・不完全な溶血と呼ばれます。
β溶血(ベータ溶血)
血球が完全に溶解し、培地は透明で黄色く見えます。これは細菌が産生するストレプトリシンという酵素が細胞膜中のコレステロールと結合し、膜構造を破壊することで起こります。
γ溶血(ガンマ溶血)
血液寒天上で溶血を起こさない細菌です。コロニーの下の培地に色や透明度の変化が見られないため、非溶血性(non‑hemolytic)と判定されます。
血液寒天培地の利用例
血液寒天は主に病原性細菌の同定・培養に用いられます。α・β溶血を示す菌は外毒素を産生し、体内で赤血球を破壊する能力があります。特にβ溶血性菌が分泌するストレプトリシンは、細胞膜を破壊するため多種多様な細胞に障害を与える可能性があります。
