飲料水における大腸菌群の総合検査と分析
大腸菌群はヒトを含む温血動物の腸内に常在する細菌で、水質汚染の指標とされています。単体での致病性は低いものの、糞便汚染の証拠であるため、下痢や痙攣、免疫低下者(乳幼児や高齢者)では腎不全に至るリスクもあります。保健所は飲料水やレクリエーション用水の定期的な検査を義務付けており、現在は4つの公認検査法が用いられています。
存在・非存在テスト(Presence‑Absence Test)
このテストは感度が高く、コストも低く、100 mL のサンプルで1分以内に結果が得られます。ただし、細菌の数は測定できず、陽性・陰性の有無のみを示します。偽陽性が出ることもあるため、確認が必要です。
膜濾過法(Membrane Filter Test)
水試料を細菌を捕捉できる膜で濾過し、培地に移して培養・同定・計数します。濁度が高い水では粒子が培養を妨げるため使用が難しく、塩素処理で一時的に抑制された細菌は検出できません。
多管発酵法(Multiple Tube Fermentation Test)
試料を希釈し、特定の大腸菌に反応する培地を入れた複数のチューブに分注します。細菌が存在すれば培地が色変化し、統計的に「最も可能性の高い数(MPN)」を算出します。膜濾過法に比べ精度は低く、結果が出るまでに時間がかかりますが、濁った水での補完的検査や結果の確認に用いられます。
MMO‑MUG法
1990 年頃に開発された最新の公認法です。試料を MMO‑MUG 培地に24時間培養し、培地が特定の黄色に変化した場合に大腸菌の存在が確認されます。
法規制
飲料水中の大腸菌は原則として検出禁止です。一方、レクリエーション用水は 100 mL あたり約70 個まで許容されます。米国では 1972 年制定・1977 年改正の Clean Water Act が基礎となり、EPA が飲料水基準を策定しています。国内では 18 の一次飲料水規則があり、世界保健機関(WHO)も飲料水品質に関するガイドラインを提示しています。
