組織培養の基礎と応用ガイド
歴史
組織培養は比較的新しい科学技術です。1907年、米国の動物学者ロス・G・ハリソン博士がカエルの神経細胞を用いて、高等植物や動物の細胞・組織を人工的に培養する概念を初めて提示しました。その後、血漿・血清・組織抽出液・リンパ液などを利用した動物細胞培養の実験が多数行われました。
培養培地
微小な組織サンプルは、ガラスやプラスチックなどの固体基質に付着させた培養培地で増殖させます。培地は生体由来、合成、またはその混合物であり、細胞が必要とする栄養素を豊富に含む必要があります。培養は二酸化炭素濃度15〜20%の環境で行い、培地は炭酸ナトリウムや炭酸によってpHが緩衝されます。また、真菌やウイルス汚染を防ぐために無菌状態を保つことが必須です。
観察
培養した細胞は電子顕微鏡で観察でき、写真撮影も可能です。実験後は細胞を破壊するか、液体窒素で凍結保存し、将来の利用に備えます。
応用例
組織培養は生物学・医学の両分野で重要な役割を果たします。植物科学では、花粉や原形質培養を通じて望ましい形質をコントロールし、新しい品種やハイブリッド植物の作製を加速させます。医学では、正常細胞と癌細胞などの異常細胞を区別するために利用され、感染症の同定、脳腫瘍の分類、薬剤試験などにも応用が広がっています。
