胃切除後のダンピング症候群
概要
胃の一部または全体を切除する手術(胃切除)は、がん治療や肥満手術など、命を救うために行われますが、術後に「ダンピング症候群」と呼ばれる副作用が起こることがあります。本稿では、ダンピング症候群の特徴、症状、原因、予防・対策について解説します。
診断
ダンピング症候群は、食事後に急に現れる胃腸や全身の症状の総称です。胃切除や胃バイパス手術(Roux‑en‑Y)などで胃容積が小さくなると、食べ物が小腸へ急速に流れ込み、症状が誘発されます。
症状
症状は「早期型」と「遅延型」に分かれます。
- 早期型(食後すぐ): 膨満感、げっぷ、吐き気、腹痛、嘔吐、下痢、めまい、動悸、疲労感など。
- 遅延型(食後数時間): めまい、倦怠感、発汗、動悸、震え、強い不安感、場合によっては意識障害や失神。
原因
主な原因は、胃容量が減少した結果、未消化の食物が大量に小腸へ送られることです。小腸上部が急激に膨張し、水分が腸内に流入して下痢を引き起こします。また、膵臓から大量のインスリンが分泌され、血糖が急降下し低血糖症状が現れます。
生活習慣の工夫
ダンピング症候群を予防するための基本的なポイントは以下の通りです。
- 食事は少量・高頻度にし、食後すぐに横になることは避ける。
- 単糖類(砂糖、ブドウ糖、フルクトースなど)や高炭水化物の食品は控える。
- タンパク質や食物繊維を中心にバランスの良い食事を心がける。
- 水分は一度に大量に摂らず、こまめに少量ずつ飲む。
薬物・その他の治療
症状が重い場合は、以下の薬が検討されます。
- プレドキサミン(Precose)やアカルボースなど、炭水化物の吸収を遅延させる薬。
- サンドスタチン(Octreotide)など、腸管運動を抑制する注射薬。
極端に症状がコントロールできない場合は、再建手術や胃の容量拡大手術が選択肢となります。
