概要

レトリール(米国特許取得のラエトリル)は、天然化合物アミグダリンを精製したものです。がん治療に用いられることがありますが、米国食品医薬品局(FDA)からは承認されていません。日本でも同様に使用は推奨されていませんので、医師とよく相談した上で取り扱う必要があります。

成分と由来

アミグダリンは、アーモンドや桃・アプリコットの種子、その他の果実の種子、ソルガム、クローバー、豆類に含まれる植物性化合物です。糖分を含み、分解されるとシアン化物(青酸)を放出します。シアン化物がレトリールのがん細胞に対する主要な作用成分とされています。

メキシコ産のレトリールは砕いたアプリコットの種子から抽出されます。一方、米国特許版は部分的に合成された人工的なアミグダリンで、天然由来のものとは製造過程が異なります。

歴史

1830年にアミグダリンが初めて単離され、1845年にはロシアで抗がん剤として使用されました。米国では1920年代にその利用が記録されていますが、経口投与の錠剤は毒性が高く使用が制限されました。1950年代に部分合成型が特許取得され「ラエトリル」と命名され、1970年代には代謝療法と併用した単独治療として注目を集めました。

副作用

注射で投与した場合、経口投与に比べて副作用は軽減されますが、以下の症状が報告されています。

  • 頭痛、めまい、吐き気、嘔吐
  • 酸素欠乏感、低血圧、発熱、意識混濁
  • 重篤例として肝障害、昏睡、死亡

砕いた果実の種子や生アーモンド、特定の野菜・果物、過剰なビタミンC摂取は副作用を増強させる可能性があります。

作用機序の仮説

カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部は、レトリールのがん治療効果について二つの説を提示しています。

  1. ビタミン欠乏説:レトリールはビタミンB17(アミグダリン)を補給し、欠乏ががんの原因であるとする説。
  2. シアン化物放出説:がん組織に多く存在するβ-グルコシダーゼがレトリールからシアン化物を放出し、がん細胞を選択的に死滅させるとする説。

治療への応用

レトリールは補完代替医療の一環として、従来のがん治療の代替または併用で使用されます。通常は2〜3週間にわたる静脈注射で投与し、その後は経口でメンテナンス投与が行われます。1978年までに米国だけで約7万人がこの治療を受けたと報告されています。

注意喚起

標準的ながん治療をレトリールに置き換える前に、必ず資格のある医師と相談してください。FDAはレトリールをがん治療薬として承認しておらず、メキシコで製造・流通しているものの安全性・有効性は確立されていません。