脊髄変性に対する高圧酸素療法

高圧酸素チャンバーは、通常より高濃度の酸素を加圧した密閉空間です。酸素が肺へ深く取り込まれ、血流を通じて全身の組織へ供給されます。HBOT(High‑Pressure Oxygen Therapy)と呼ばれ、損傷組織の修復を促進するとされています。

歴史

高圧チャンバーは1662年に「ドミシリウム」として登場し、わずかな加圧が行われました。1870年には麻酔効果を高める目的で使用され、1960年代の深海探査により高圧に関する知見が蓄積されました。その後、嫌気性菌感染の治療や放射線療法の効果増強に活用されました。

脊髄変性への治療

1976年以降、脊髄に対するHBOTの効果を検証する研究が行われています。ヒトを対象とした試験もありますが、多くは動物実験です。デューク大学のアルフレッド・C・ヒギンズ博士は、Journal of Neurosurgery に掲載された研究で、早期のHBOTが動物の脊髄損傷の進行を抑制できることを示しました。ただし、数時間以降の効果は限定的でした。

1984年、オーストラリア・シドニーのロイヤル・ノース・ショア病院のジョン・D・ヨー博士は、脊髄損傷患者27名にHBOTを実施し、うち15名が有用な機能回復を示しました。結果は一部で肯定的ですが、全体的にはデータが混在しています。

注意点

HBOTは概ね安全な治療とされていますが、酸素中毒やガス塞栓症といったリスクがあります。酸素中毒は組織を焼灼し、損傷を引き起こす可能性があります。また、血管内に気泡ができると致命的なガス塞栓症を招く恐れがあります。

その他の代替療法 - 関連記事