脳腫瘍の歴史と治療の進歩
脳腫瘍は診断が極めて難しいがんのひとつで、原因の特定も長らく課題とされてきました。画像診断技術が発達する前は腫瘍の位置を正確に把握できず、治療は限られたものでした。近年の技術革新により腫瘍の検出だけでなく除去も可能となり、携帯電話の使用が腫瘍を引き起こすという誤った説も科学的に否定されています。
一次腫瘍と二次腫瘍
脳腫瘍は大きく分けて一次腫瘍と二次腫瘍の二種があります。一次腫瘍は脳や脊髄そのものから発生し、二次腫瘍は体の他部位のがんが血流を介して脳に転移したものです。
主な一次脳腫瘍のタイプ
- 星状細胞腫(アストロサイトーマ)― 脳幹、 小脳、白質、脊髄に発生
- 脳幹膠腫(グリオーマ)― 延髄、橋、 中脳に発生
- 脈絡叢乳頭腫― 脳室内に形成
- 上衣腫(エペンディモーマ)― 脳室の膜や脊髄中心管に発生
- 多形性膠芽腫― 大脳皮質の膠細胞から発生
- 髄芽腫― 第四脳室や小脳に見られる
原因に関する研究の推移
研究によりいくつかのリスク要因が示唆されています。1987年のニューヨーク州保健局の調査では、電力線付近に住む子どもが高磁界にさらされ、脳腫瘍や白血病の発症リスクが上昇する可能性が示されました。一方、2006年にロンドンのがん研究所が行った大規模調査では、携帯電話の使用と脳腫瘍との相関は認められませんでした。
手術と放射線治療
放射線療法は脳腫瘍治療の主軸のひとつですが、手術と組み合わせることで生存率や生活の質が向上することが報告されています。
新しい治療法の開発
従来の手術・放射線に効果が見られない患者を対象に、さまざまな新規治療が試みられています。1993年にはヘルペスウイルスを利用した遺伝子治療が導入され、腫瘍細胞をウイルスで感染させた後に抗ヘルペス薬で選択的に死滅させる手法が開発されました。また、テモゾロミドという薬剤を用いたDNA合成阻害療法も、がん細胞の増殖を抑える効果が確認されています。
