イチイ(ヨウ)樹液の利用と毒性
毒性と症状
イチイは有毒で、摂取すると腹痛、口渇、めまい、散瞳(光が強くても瞳孔が拡大したまま)などの症状が現れます。さらに、顔色が蒼白になり、発疹が出たり、皮膚がシアノーゼになることもあります。葉や茶として摂取すると、心不全や呼吸不全に至り、最悪の場合死に至ります。
神経毒としての利用
イチイは針葉樹で、赤いベリー状の実をつけます。古代ケルト人は矢じりにイチイ樹液を塗り、神経毒として利用しました。この毒矢は哺乳類や魚を毒殺するほか、暗殺や自殺にも使われました。
医療用途
- 尿路感染症、リウマチ、肝臓疾患の治療に利用された歴史があります。
- 心臓刺激剤や堕胎薬としても用いられました。
- 近年では抗がん剤の原料として注目されています。イチイの実の果肉は利尿・下剤効果があるとされています。
抗腫瘍作用
イチイは長年漢方薬として使用され、抗腫瘍作用が知られています。イチイに含まれるタキサン系アルカロイドは細胞分裂を阻害し、腫瘍の増殖を抑制します。培養種の葉から抽出されたタキソールは、米国食品医薬品局(FDA)により乳がん・卵巣がんの治療薬として承認されています。
中毒時の対処法
イチイを摂取した場合は、速やかに胃内容を除去し、活性炭スラリーを投与します。北米では庭木として広く植えられており、実の柔らかい部分を除く全草が有毒です。特に乾燥した葉は新鮮な葉よりも毒性が強く、子供やペットが誤って摂取する事故が多数報告されています。
