高リスク多発性骨髄腫の治療
多発性骨髄腫(MM)は、形質細胞と呼ばれる白血球の一種ががん化した疾患です。通常、形質細胞は抗体を産生しますが、MM患者ではがん化した形質細胞が制御不能に増殖し、骨や他の臓器に浸潤します。治療により寛解に至る例もありますが、診断後2年以内に死亡する患者は全体の約90%に上ります。現在、より効果的な治療法の開発が進められています。
リスク層別化
一部のMM細胞に見られる遺伝子変異は、予後不良と強く関連しています。これらの変異はがんをより攻撃的にし、該当する患者は高リスクと分類されます。高リスク患者には、より積極的な治療が選択されることが一般的です。どの遺伝子マーカーが高リスク判定に最も重要かは議論がありますが、2010年時点でもこの分類は広く受け入れられています。
ボルテゾミブ併用化学療法
高リスクMMの治療で最も頻用されるのは化学療法です。ボルテゾミブはプロテアソーム阻害薬で、細胞内の不要タンパク質を分解する構造を阻害します。がん細胞はこの阻害に対して健康な細胞より感受性が高く、他の薬剤と組み合わせて使用されます。主な併用薬として、サリドマイド(レチノイド系)、プレドニゾロン、メルファランなどがあります。
幹細胞移植(HSCT)
造血幹細胞移植(骨髄移植)も高リスク患者の選択肢の一つです。移植前に複数回の化学療法でがん細胞を除去し、ドナーから得た健康な幹細胞、または患者自身から採取・保存した幹細胞を移植します。ただし、移植には重篤な合併症リスクが伴うため、全てのMM患者に適用できるわけではありません。
新規療法
高リスクMM患者は、臨床試験での新規治療への参加が推奨されることがあります。標準治療より生存率が低い可能性があるため、臨床試験への参加が最も有望な治療機会となる場合があります。
治療上の留意点
高リスク骨髄腫は急速に合併症を引き起こします。がん細胞が骨や臓器に浸潤すると、骨痛、脊椎圧迫骨折、腎不全などが生じます。医師はこれらの症状と根本疾患の両方を同時に管理します。
MMとともに生きることは大きな負担です。同じ悩みを抱える患者同士が情報交換できるサポートグループへの参加も有益です。
主治医への相談
本記事は医療アドバイスを目的としたものではありません。治療に関する疑問や不安がある場合は、必ず主治医にご相談ください。
