癌に対するチモシン療法の現状と評価
癌治療の新たな方法を見つけるために、資金と時間を絶えず投資することが、科学がこの病と闘う唯一の道です。かつて試みられた方法の一つに、チモシン療法、すなわち癌患者にチモシンホルモンを投与する方法がありますが、期待された効果は得られませんでした。
癌とは
癌は、異常で統制が取れない細胞が増殖し、腫瘍を形成する疾患です。腫瘍が一定の大きさに達すると、リンパ系や血流を通じて他の臓器や組織へ転移します。主な症状には、寒気、夜間の発汗、発熱、体重減少、倦怠感などがあります。
チモシンとは
チモシンはT細胞の発達を促進するホルモンです。T細胞は白血球の一種で、免疫系の中核を担い、癌などの脅威に対して特異的な免疫応答を引き起こします。
チモシン療法の理論
チモシン療法の基本的な考え方は、患者にチモシンを投与することで体内のT細胞が増加し、癌に対する免疫力が向上すると期待される点です。治療に用いられたチモシンは「フラクションV(5)」と呼ばれるものです。
効果に関する研究
1978年に『ニューヨーク科学アカデミー紀要』に掲載された研究では、チモシンフラクションV投与が癌患者のT細胞数に変動をもたらす「正規化効果」が報告されました。一部の患者ではT細胞数が増加し、別の患者では減少しました。しかし、1987年12月に『Cancer Research』誌に掲載された肺癌患者を対象とした別の研究では、生存率に有意差は認められませんでした。
考察
癌治療の中には期待通りの成果を上げるものもありますが、チモシン療法は上記の研究結果から効果が確認できず、期待は薄れました。そのため、現在は遺伝子治療やナノテクノロジーなど、別のアプローチに注目が集まっています。
