マグネシウムと肺がんの関係
正常範囲
血中マグネシウム濃度は通常 1.8〜3 mEq/L(ミリ当量/リットル)とされています。血中濃度は厳密に調整されているため、1.8 mEq/L でも欠乏症状が現れることがあります。
マグネシウムの役割
マグネシウムは DNA・タンパク質合成、神経伝達、甲状腺副甲状腺ホルモンの合成など、数多くの代謝反応に不可欠です。また、エネルギー産生や DNA 修復に関わる酵素系もマグネシウムを必要とします。
発癌メカニズム
肺がんは肺組織の細胞が異常に増殖・増殖制御が失われた状態です。主な分子異常としては、オンコジーンの増幅と腫瘍抑制遺伝子の失活が挙げられます。オンコジーンは正常細胞を腫瘍細胞へ変化させ、腫瘍抑制遺伝子はがん化を防ぐ「細胞の守護者」として機能します。
マグネシウムががんリスクに与える影響
2008 年に『Carcinogenesis』誌に掲載された研究によれば、食事からのマグネシウム摂取を増やすことで肺がんリスクが 17〜53% 低減する可能性が示されました。マグネシウム摂取が少ない人は DNA 修復能(DRC)が低く、低摂取かつ DRC が低下している場合にリスクが最も高くなることが報告されています。
保護メカニズム
テキサス大学の研究者ソムダット・マハビールらは、マグネシウムが肺がんから細胞を守るメカニズムとして以下を提案しています。
- 遺伝子安定性の維持
- 細胞増殖の適切な制御
- 炎症の抑制
- 肺機能の維持
- 酸化ストレスに対する抗酸化作用
追加リスク要因
マグネシウム摂取が少ない人の中でも、特に以下の条件を持つ人は肺がんリスクが高まります。
- 高齢者
- 現在喫煙者、喫煙歴が長い人、重度の喫煙者
- 第一度親族にがん既往がある人
- アルコール摂取者
- BMI が 25 未満の低体重者
食品源
マグネシウムを豊富に含む食品は次の通りです。
- 緑葉野菜(ほうれん草など)
- 豆類(大豆、エンドウ豆)
- 種子・ナッツ(カシューナッツ、アーモンド)
- 未精製全粒穀物(小麦ふすまなど)
果物、乳製品、肉類は中程度、精製された穀物はマグネシウムが少ないです。また、ミネラルが豊富な硬水は軟水よりもマグネシウム含有量が高いことが知られています。
