網膜芽細胞腫について
網膜芽細胞腫は、眼球の奥にある網膜(神経組織)に発生するがんです。主に遺伝的素因を持つ幼児に見られ、他の組織へ転移することはまれで、早期に除去すれば致命的になるケースは少ないです。
原因
- 13番染色体の長腕の一部が欠損している親から遺伝した子どもは、50%の確率で網膜芽細胞腫を発症します。遺伝的リスクがなくても発症する例があり、その原因は現在も不明です。
症状と診断
- 両眼の視線が合わせにくくなり、虹彩が白く濁ることがあります。目の痛みや充血も見られます。眼科医は光を当てるだけで大きな腫瘍を発見でき、CTやMRIでも腫瘍ははっきりと映ります。
合併症
- 診断が遅れ治療が行われない場合、失明に至るほか、稀に脳の松果体へ転移し「三側性網膜芽細胞腫」と呼ばれる致命的な状態になることがあります。また、過去に網膜芽細胞腫を経験した人は、後年に他のがんを発症するリスクが高まります。
治療
- 腫瘍が大きい場合は、患眼または両眼の摘出が必要になることがあります。小さな腫瘍で視力を残せるケースでは、凍結療法や焼灼療法、レーザー切除、化学療法、放射線療法などが選択肢となります。
発生率
- 主に5歳未満の子どもに発症し、5歳以上の患者は全体の約5%にすぎません。米国では毎年約300人の子どもが網膜芽細胞腫と診断されています。
予後
- 1976年から1994年に診断された子どもたちのうち、93%が診断後5年以上生存しています。ただし、20%以上の患者が少なくとも一方の眼で視力を部分的または完全に失っています。
