前立腺がんにおけるプロトン治療の概要
前立腺がんは、前立腺の腺組織を覆う細胞が制御不能に増殖する疾患です。米国国立がん研究所のデータによると、毎年約217,000人が前立腺がんと診断され、約32,000人がこのがんで死亡しています。現時点で完全な治癒法はありませんが、近年注目されているのがプロトン療法です。
仕組み
陽子は正電荷を持つ粒子で、これをビーム状にして腫瘍に照射します。ビームはサイクロトロンまたはシンクロトロンで加速され、磁石で前立腺腫瘍に向けて誘導されます。陽子はDNAを損傷させ、がん細胞の増殖や転移を阻止します。エネルギーは腫瘍部位でほぼ全て放出され、周囲の正常組織への影響は最小限に抑えられます。
メリット
プロトン療法の最大の特徴は「高精度」です。照射範囲が狭いため、直腸や膀胱へのダメージを避けながら、より高い放射線量を腫瘍に集中させることが可能です。また、非侵襲的で切開が不要、痛みもほとんどありません。
治療期間
治療は外来で行われ、1回の照射は10〜15分程度です。患者ごとのがんの広がりやステージにより回数は異なりますが、一般的には5〜7週間で合計20〜30回程度実施されます。
副作用
他の放射線治療に比べて副作用は軽微です。主な症状としては、吐き気、倦怠感、皮膚の刺激感などが報告されていますが、ほとんどの場合は一過性です。
注意点
プロトン療法は多くの患者に選ばれつつありますが、放射線治療全般と同様に、治療中は医師の指示に従い、日光や環境汚染物質への過度な曝露を避けることが推奨されます。
