前立腺がんのブラキセラピー(内部照射療法)
ブラキセラピーは、放射性シードを前立腺がん細胞に直接埋め込み、腫瘍を縮小させる治療法です。成功は患者の年齢、腫瘍のタイプ、放射線腫瘍医の技術に依存します。局所前立腺がんの有効な治療として高い効果が報告されていますが、治療法のメリット・デメリットや副作用を十分に検討する必要があります。
歴史
1895年にX線が発見され、1896年に放射能が見つかった後、マリーとピエール・キュリーは放射線をがん細胞破壊に利用できないか研究を開始しました。1901年、ピエール・キュリーは腫瘍内に放射性物質を注入すればがんが縮小すると提案し、内部照射療法(ブラキセラピー)の概念が生まれました。残念ながら、キュリー夫妻は放射線の副作用により最初の犠牲者となりました。
1905年にはパリのキュリー研究所とニューヨークのセント・ルーク病院で、初めて患者に対するブラキセラピーが実施されました。ジョン・ホプキンス大学のヒュー・ハンプトン・ヤング博士は、前立腺がんに対してこの手法を初めて用いました。当時は手作業でシードを配置していたため、一時的な寛解は得られましたが、患者や医療従事者への放射線障害が大きな問題となっていました。
1970年代に研究が進むと、ブラキセラピーは再び注目を浴びました。しかしその後の20年間は成功率が低く、観察待機と比較しても優位性が認められないことが示されました。
従来の治療手順
シード埋め込みの約3週間前に、シードの数と配置場所を決定するための検査が行われます。手術当日は硬膜外または脊髄麻酔が施され、金属製テンプレートを陰嚢と直腸の間に装着し、空洞針を前立腺の指定位置に挿入します。超音波画像でシードを針に通し、がん細胞内に放射性シードを投下します。放射性物質の量に応じて、シードは数か月間腫瘍に照射し続け、周囲組織への影響は最小限に抑えられます。
ハイ・デーズ・レート(HDR)治療
ブラキセラピーは主に小さな局所がんに適用されますが、ハイ・デーズ・レート(HDR)治療は大きな腫瘍にも有効です。インテル共同創業者のアンディ・グローブ氏が自身のがん治療に選んだことから「グローブ法」とも呼ばれます。細いチューブを前立腺に挿入し、短時間で高線量の放射線を照射する方式です。
メリット
最大の利点は手術に比べて手軽さです。カテーテルを使用せず、同日で完了することが多く、痛みも軽減されます。
デメリット
前立腺外にがんが転移している場合は適用できません。短期的な副作用として下痢、直腸痛、尿失禁、腸の問題、勃起障害などが報告されています。また、幼児や妊婦、高齢者と同居している場合は放射線曝露のリスクから推奨されません。
副作用
約10%の男性が尿閉を起こし、長期的にカテーテルが必要になることがあります。放射線性尿道炎は20〜40%の患者で認められ、排尿時の痛みや出血、陰茎先端の灼熱感、下腹部の痛みを伴います。
性機能への影響も大きく、前立腺が縮小することで射精量が減少し、痛みを伴う射精や不妊が起こります。メモリアル・スローン・ケタリングが実施した5年追跡調査では、治療後の勃起不全率は最大53%に上ると報告されています。
将来展望
リアルタイムで線量分布をコンピュータが算出する高度な装置が一部で導入されつつあります。照射精度が向上すれば、尿路や腸への副作用も減少すると期待されています。
