転移性前立腺癌に対するホルモン療法
前立腺癌は男性の生殖系にある前立腺から発生する癌です。進行したケースでは腫瘍が他の臓器へ転移し、治療が難しくなります。しかし転移巣も前立腺由来の細胞で構成されているため、ホルモン療法に反応します。
ホルモン療法の仕組み
前立腺癌細胞はアンドロゲン(テストステロンなど)に依存して増殖します。ホルモン療法は主にアンドロゲンの作用を阻害することで癌細胞の増殖を抑えます。
去勢手術(オーキエクトミー)
精巣を外科的に除去する手術です。精巣は体内アンドロゲンの約90%を産生するため、除去するとテストステロンがほぼ消失します。費用は比較的低いものの、性欲低下、ホットフラッシュ、骨粗鬆症などの副作用があります。
黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログ
LHRHアナログは視床下部に作用し、持続的にLHRH受容体を刺激して下垂体からの黄体形成ホルモン放出を抑制します。その結果、テストステロン産生が低下します。費用は高額で、去勢手術と同様の副作用が現れます。また、治療開始直後に一時的にテストステロンが上昇する「テストステロンフレア」も報告されています。
LHRH拮抗薬
LHRH拮抗薬はLHRH受容体を直接ブロックし、黄体形成ホルモンの放出を即座に抑制します。これによりアンドロゲン産生が減少しますが、重篤なアレルギー反応を起こすことがあり、使用は限定的です。
抗アンドロゲン薬
残存する微量のアンドロゲンに対し、前立腺癌細胞が受容体に結合できないよう阻害する薬です。単独では効果が限定的で、他のホルモン療法と併用して使用されます。
