転移性前立腺がんの治療
前立腺がんは男性の前立腺で始まるがんです。転移性前立腺がんは、前立腺で発生したがんが血流に乗り、体の他部位へ広がり二次腫瘍が形成された状態を指します。前立腺がんは増殖が遅いため、血流に侵入し転移するまでに数年かかります。早期発見により転移を防げる可能性があります。一度転移すると根治は難しいですが、生活の質を延長・改善するための治療は可能です。
治療法
転移性前立腺がんは根治できないため、治療は一次腫瘍と二次腫瘍の増殖を抑え、生活の質を向上させることを目的とします。治療の中心はテストステロンの遮断です。前立腺がんはテストステロンで増殖するため、テストステロン産生を抑えることでがん細胞の増殖を抑制します。約80%の患者がホルモン療法に一時的に反応しますが、反応した患者の約50%は3年以内にがんが変異し、ホルモン療法が効かなくなります。
外科的ホルモン療法
テストステロン産生を減少させるために、外科的に精巣を除去する方法があります。精巣はテストステロンの主要な供給源であるため、除去すれば体内のテストステロン産生がほぼ停止し、がんの増殖が抑えられます。化学療法とは異なり、化学療法特有の副作用はありませんが、性欲低下、勃起不全、ホットフラッシュ、筋力低下、骨粗鬆症などが生じることがあります。
注射によるホルモン療法
精巣を残したい患者には、テストステロン産生を抑える薬剤を注射で投与する方法があります。ルプロンやゾラデックスなどが代表的で、3か月ごとに医師の管理下で注射します。外科的除去と同様の副作用がありますが、薬剤の投与を中止すれば効果は逆転します。
アンドロゲン遮断
体内の残存テストステロンをさらに減少させるため、アンドロゲン遮断薬を使用します。テストステロンの約95%は精巣で、残りの5%は副腎で産生されます。アンドロゲン遮断は副腎からのアンドロゲン産生も抑制し、ホルモン療法と併用されます。生存期間が最大で約6か月延長する可能性が示唆されていますが、効果は個人差があります。
転移巣の治療
転移性がんは他部位に二次腫瘍を形成します。前立腺がんの転移先として最も多いのは骨です。骨転移には局所放射線治療で腫瘍を縮小させるか、ビスホスホネート系薬剤で骨の破壊と新生を抑える方法があります。これにより疼痛緩和や骨折リスクの低減が期待できます。
