甲状腺がん治療にホルモンが用いられる理由とは
甲状腺がんの治療では手術や放射線療法が主に用いられますが、ホルモン療法が補助的に使用されることがあります。特に手術後の管理や転移が認められる場合に、以下のようなホルモン関連治療が行われます。
甲状腺ホルモン補充療法
甲状腺全摘術(甲状腺の全切除)を受けた患者は、体内に甲状腺がなくなるため、生涯にわたり甲状腺ホルモンを補充する必要があります。適切なホルモン量を投与することで、基礎代謝を正常に保ち、甲状腺機能低下症の症状を防ぎます。また、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑えることで、残存する可能性のあるがん細胞の増殖を抑制します。
甲状腺ホルモン抑制療法
がんが他臓器へ転移した進行例(転移性甲状腺がん)では、TSHを極力低く保つことが重要です。そのために、体が必要とする量を超える高用量の甲状腺ホルモン(レボチロキシンなど)を投与し、TSHレベルを抑制します。これにより、甲状腺がん細胞の増殖を抑える効果が期待されます。
放射性ヨウ素(RAI)療法
放射性ヨウ素療法は、ホルモン的性質を持つ治療法とも言えます。甲状腺組織はヨウ素を取り込む性質があるため、放射性ヨウ素(I-131)を投与すると、がん細胞を含む甲状腺組織に取り込まれ、放射線で細胞を破壊します。正常組織への影響を最小限に抑えつつ、残存がん細胞を効果的に除去します。
これらのホルモン療法は、外科手術や放射性ヨウ素療法と組み合わせて行われ、内分泌専門医の厳格な管理下で実施されます。がんの種類・ステージ・患者の全身状態に応じて、適用の可否が判断されます。
