ADHD治療に使用される薬
注意欠陥多動性障害(ADHD)は、不注意、衝動性、過活動が特徴の神経発達症です。米国国立精神衛生研究所(NIMH)によると、子どもの約3〜5%が診断されており、学齢期になると8〜10%に達すると推定されています。成人になっても症状が続くことが多く、適切な治療が重要です。ADHDの治療薬は主に刺激薬と抗うつ薬に分かれます。
刺激薬
刺激薬は50年以上にわたりADHDの治療に使用され、安全性と有効性が実証されています。脳内の神経伝達物質の産生を促進し、シナプス間の情報伝達を改善することで症状を軽減します。
代表的な刺激薬には、リタリン(メチルフェニデート)系のRitalin、Metadate、Concerta、およびアンフェタミン系のAdderallがあります。非刺激薬とされるStrattera(アトモキセチン)も、同様のメカニズムで効果を示します。NIMHの調査では、刺激薬と行動療法を組み合わせた治療を受けた学齢児の9割が症状の改善を報告しています。
抗うつ薬
抗うつ薬は刺激薬に比べ処方頻度は低いものの、特定のケースで有効です。副作用リスクが高いため、通常は「最後の手段」として使用されます。ADHDに承認されている抗うつ薬は、三環系抗うつ薬のイミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、およびウェルブトリン(ブプロピオン)などです。
副作用
刺激薬の主な副作用は、筋肉のチック、睡眠障害、食欲低下などです。用量調整や薬剤変更で軽減できます。抗うつ薬は心拍数やリズムの変化、口渇、頭痛、眠気などのリスクがあり、特にブプロピオンは痙攣を引き起こすことがあります。医師の綿密なモニタリングが必須です。
投与量
刺激薬は体重に応じて決められるわけではなく、まず最低用量から開始し、数週間ごとに症状の改善度合いを見ながら段階的に増量します。最適な薬剤と用量を見つけるまでに数週間かかることがあります。現在は12時間持続する長時間型製剤が主流で、朝1回の服用で済むケースが多いです。錠剤を飲み込めない子どもには、短時間型のリタリンやアデロールを噛む・砕く形で処方したり、皮膚に貼付するパッチ型を選択することも可能です。
考慮すべき点
薬物依存のリスクを懸念する親もいますが、NIMHと米国薬物乱用研究所(NIDA)の共同研究では、ADHDを未治療のままにしておく方が薬物・アルコール乱用のリスクが高いことが示されています。医師は薬物療法だけでなく、行動修正プログラムや環境調整も併用することが、学業や職場での成功につながると指導しています。
