膝の痛みを和らげるヒアルロン酸注射
歴史
膝関節は他の関節と同様に滑液で包まれており、衝撃吸収と潤滑を行います。特に膝関節症の患者は滑液が不足しがちです。滑液の主成分であるヒアルロン酸を直接関節腔に注入することで潤滑性が向上し、痛みが軽減します。米国食品医薬品局(FDA)で初めて膝関節症治療薬として承認された製剤は「Synvisc」で、広く使用されています。
機能
ヒアルロン酸注射は慢性膝関節症の疼痛緩和を目的とします。まずは鎮痛薬、活動制限、理学療法などの従来治療を行い、効果が不十分な場合にヒアルロン酸注射を検討します。一般的な治療コースは、3〜5週間にわたり週1回関節内に注射する形です。症例に応じて追加投与も行われます。
メリット
最大の利点は、疼痛軽減に加えて副作用が少ない点です。ステロイド注射は関節刺激や軟骨摩耗、長期使用での関節劣化リスクがありますが、ヒアルロン酸は重篤な副作用がほとんどなく、局所的な関節刺激やまれなアレルギー反応程度です。
注意点
ヒアルロン酸注射は重度の膝関節疾患には適しません。例えば、軟骨が大幅に失われ骨変形が顕著な末期変形性膝関節症や、靭帯断裂による関節不安定、疼痛、変形などには効果が期待できません。適応は比較的限定的です。
誤解
他の関節(股関節や肩関節)でも変形性関節症は起こりますが、ヒアルロン酸注射はFDAで膝関節の変形性関節症症状緩和のみに承認されています。したがって、他関節への販売・宣伝は法的に認められていません。実際に他関節へ注射されるケースもありますが、効果は概ね不十分です。
