肩関節上腕骨近位部骨折の治療と回復法

上腕骨近位部骨折(俗に「肩ボール」骨折)は、肩関節内にある上腕骨の上端が折れる状態を指します。骨折は、関節球のすぐ下の近位頸部や、球そのもの内部で起こります。回復期間は骨折の程度や治療方法により大きく異なります。

骨折の程度

デューク大学の整形外科教科書(Wheeless' Textbook of Orthopaedics)によれば、肩ボール骨折は大きく3つに分類されます。

  • 安定骨折:骨片が元の位置からずれていません。痛みは軽く、肩の可動域もほぼ保たれます。
  • 軽度転位骨折:骨片が僅かにずれています(数ミリ程度)。痛みが増し、可動域が制限されます。
  • 顕著な転位骨折:骨片が10mm以上ずれるか、角度が大きく変化しています。骨片が4つまで分裂することもあり、分離が伴うこともあります。

非転位骨折の治療

骨片がずれていない場合、主に保存的治療が選択されます。具体的には、スリングや専用の固定具で肩を固定し、安静を保ちます。これにより骨片の二次的なずれを防ぎ、自然治癒を促します。

治療期間中は、冷却療法や鎮痛剤の処方が行われることが一般的です。骨癒合が進んだ段階で、肩の硬直を防ぎ、筋力と柔軟性を維持するための理学療法が開始されます。理学療法は、骨折が完全に治癒する前でも開始できる場合があります。

転位骨折の治療

軽度転位の場合は、非手術的治療と理学療法で回復できることがあります。しかし、骨片が大きくずれている、または分離している場合は外科的手術が必要です。

手術では、骨片を正しい位置に整復し、スクリュー、ピン、プレートなどで固定します。骨片が極端に粉砕されている場合は、人工関節置換術(肩関節置換)が選択されることもあります。

手術後は、医師の指示に従い一定期間肩を固定します。その後、可動域の回復と術後の硬直軽減を目的としたリハビリテーションが行われます。回復期間は数週間から数か月と、骨折の重症度により異なります。

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