インスリン発見以前の糖尿病

糖尿病はインスリンの産生や利用が障害される代謝性疾患です。米国糖尿病協会によると、米国人口の約8%が何らかの形で糖尿病を抱えています。

インスリンの働き

インスリンは血中のブドウ糖と結合し、脳にエネルギーを供給し、体全体のエネルギー源となります。血中インスリンが不足するとブドウ糖濃度が上昇し、危険な高血糖(ハイパーグリセミア)を引き起こします。

未治療の糖尿病

高血糖の主な症状は、過度の喉の渇き、急激な体重減少、視力低下、頻尿、倦怠感、脳機能の低下です。治療しないまま放置すると、失明、心血管障害、腎不全、歯周疾患、昏睡などを招きます。特に、治療なしの長期高血糖はケトアシドーシスを引き起こし、致死率は100%です。

インスリンなしの生活

インスリンが発見される前は、糖尿病と診断されるとほぼ必ず昏睡と死に至り、寿命は1か月から2年程度でした。医師は数百キロカロリーの極端な低カロリーダイエットが生存期間を1〜2年延長することを見出しましたが、患者は重度の栄養失調に陥り、末期には体重が30kg前後になることが普通でした。

インスリンの発見

1921年、トロントのフレデリック・バンティング博士がインスリンを発見しました。インスリン投与を受けた糖尿病患者はすぐに血糖が低下し、糖尿病性昏睡から回復しました。リリー社は研究を継続し、1年以内に「イレシン」として大量生産を開始しました。

現代のインスリン治療

インスリンは発見以来大きく進化し、現在では速効型、持続型、混合型など多様な製剤が利用可能です。患者一人ひとりの状態に合わせた個別治療が主流となり、インスリンポンプやインスリンペンといった新しい投与デバイスにより、血糖管理が格段に容易になっています。

糖尿病 - 関連記事