尿崩症(DI)の種類と特徴

尿崩症(Diabetes Insipidus、DI)は、極度の喉の渇きと大量の尿量を特徴とする疾患です。主に、体内の抗利尿ホルモン(ADH)が不足しているか、腎臓がホルモンに反応しないことが原因です。多くは頭部外傷や脳手術後に発症します。

尿崩症と糖尿病(Diabetes Mellitus)の違い

名前に「糖尿病」が含まれますが、尿崩症はインスリンとは無関係です。糖尿病はインスリン不足や抵抗性が原因で血糖が上昇しますが、尿崩症はADHの合成・分泌・作用の障害により水分調節ができなくなる病態です。

中枢性尿崩症(Neurogenic DI)

下垂体や視床下部がADH(別名抗利尿ホルモン)を十分に分泌できない場合に起こります。原因は頭部外傷や手術、腫瘍などです。診断には水分制限負荷試験やMRIが用いられ、治療は合成ADH(デスモプレシン)で行います。

腎性尿崩症(Nephrogenic DI)

腎臓がADHに対して抵抗性を示すため、尿が過剰に生成されます。遺伝性のものもあり、男性に多いです。診断は同様に水分制限負荷試験で行い、低ナトリウム食や利尿薬(トルバプタンなど)が治療に用いられます。

妊娠性尿崩症(Gestagenic DI)

妊娠中にのみ発症し、出産後4〜6週間で自然に改善します。下垂体の損傷や妊娠によるAVPの減少が原因です。糖尿病(妊娠糖尿病)とは異なり、インスリン不足は関与しません。再妊娠時にも再発する可能性があります。

渇望性尿崩症(Dipsogenic DI)

中枢の渇望調節機構が異常をきたし、過度の飲水(一次性多飲症)を引き起こすタイプです。大量の水分摂取によりADHの分泌が抑制され、喉の渇きが止まらなくなります。放置すると水中毒や致命的な結果を招くことがあります。

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