アスカリス・ルンブリコイデスの生活史と症状
巨大回虫(Ascaris lumbricoides)は、現在世界人口の約4〜5分の1が感染しており、特に熱帯・亜熱帯地域で多く見られます。米国だけでも約400万人が感染していると推定されています。成虫は最大35cmに成長し、重篤な健康障害を引き起こすことがあります。人間体内での生活史は複雑で、以下の段階を経ります。
摂取
- Ascaris lumbricoidesの感染は、ヒトの糞便が混入した土壌や、糞を肥料として使用した作物を十分に洗浄せずに摂取することで始まります。特に衛生環境が整っていない熱帯の開発途上国で多く見られます。卵は産卵後18日から数週間で感染性を持ち、土壌中で10年以上も感染性を保つことがあります。
小腸
- 摂取された卵は小腸に到達し、そこで孵化して幼虫となります。幼虫は小腸壁の腔(ルーメン)に侵入し、成長しながら血流に乗って次の段階へ移動します。
肺
- 血流を介して肺へ移動した幼虫は、肺胞壁で約2週間成長します。その後、気道を遡り上部肺に到達し、咳とともに喉へ戻ります。感染者は無意識のうちにこれらの幼虫を飲み込みます。
消化管(成虫)
- 喉で飲み込まれた幼虫は再び消化管へ戻り、小腸に定着して成虫へと成長します。卵から成虫になるまで約2〜3か月かかります。成虫は交配し、雌虫は1日約24万個の卵を産み、糞とともに排出されてサイクルが再開します。成虫は小腸に1〜2年生存します。
症状
- 症状は軽微なことが多いですが、幼虫が肺へ移動する過程で発熱、咳、喘鳴などが現れます。重症例ではロフラー肺炎を起こし、致死的な細菌感染に至ることがあります。消化器症状としては、口や肛門から虫が排出される、吐き気・嘔吐などがあります。大量感染では栄養不良や腸閉塞を引き起こすことがあります。
