膵臓の腺房細胞損傷とその影響
腺房細胞損傷とは
膵臓の外分泌細胞である腺房細胞は、消化酵素を合成・貯蔵し、必要に応じて腸へ分泌します。これらの酵素は膵臓内では不活性で、腸に到達したときに活性化されます。腺房細胞が何らかの原因で損傷すると、酵素の正常な分泌・活性化が阻害され、膵臓機能が低下します。
主な原因
- 過度のアルコール摂取、特定の薬剤、喫煙などの化学的刺激
- 胆石が総胆管を閉塞し、酵素が膵臓内に滞留する
- 高カルシウム血症、原発性副甲状腺機能亢進症、脂質異常症(高トリグリセリド血症)
- 腹部外傷や手術による直接的な損傷
- まれに膵臓癌が腺房細胞の機能を阻害することがある
膵炎
腺房細胞損傷の最も一般的な臨床像は膵炎です。酵素が膵臓内で活性化されると、自己消化が起こり、炎症や組織破壊を招きます。急性膵炎は数日で症状が現れ、数日後に改善することが多いですが、慢性膵炎は数年にわたって症状が続きます。主な症状は腹部・背部の疼痛、吐き気・嘔吐で、食事で症状が悪化しやすいです。重症例では、酵素が膵島細胞を傷つけ、二型糖尿病が二次的に発症することもあります。
腺房細胞癌
腺房細胞から発生する癌は非常に稀で、米国の膵腫瘍全体の約1%(年間約400例)を占めます。60歳以上の高齢者や喫煙者に多く見られ、診断時にはすでに進行していることが多く、平均生存期間は約19か月です。稀に急性膵炎を呈した後に腫瘍が発見されるケースがあります。
治療法
膵炎の治療は主に入院管理で、膵臓を休ませるために絶食・静脈栄養を行います。脱水予防のための点滴や、疼痛管理のための鎮痛薬が必要です。原因が胆道閉塞や腫瘍であれば、外科的除去や胆道ステント留置が検討されます。アルコール依存が原因の場合は、禁酒支援も重要です。腺房細胞癌に対しては、腫瘍の外科的切除が第一選択ですが、術後の化学療法は標準化されていません。症状緩和を目的とした緩和ケアが中心となります。
