疥癬の診断

疥癬は Sarcoptes scabiei(サルコプテス・カビエ)という八本脚の寄生ダニが原因です。メスのダニが皮膚にトンネルを掘り、そこに卵を産みます。卵は 3〜10 日で孵化し、皮膚上を這い回って新たなトンネルを作り、激しいかゆみを引き起こします。

ダニは皮膚と皮膚の直接接触で非常に感染しやすく、握手程度の短時間の接触では稀ですが、長時間の密接な接触(例:性行為)で伝播しやすくなります。特に共同生活をしている人や免疫低下者に多く見られます。診断は顕微鏡でダニを確認したり、皮膚に特徴的なトンネルを探すことで行います。

疥癬の治療

疥癬は適切な外用薬で高い治癒率を示します。第一選択薬は 5% ペルメトリン軟膏で、首から下全身に塗布し、8〜14 時間放置した後に洗い流します。通常は1回の塗布で効果が得られます。その他の外用薬としては、マラチオンやクロタミトンがあります。

古くから硫黄石鹸(1〜10%)が使用され、2003 年までリンダン(リンデン)が処方されていましたが、神経系への影響が懸念され、現在は第一選択薬が使用できない患者に限られます。

経口薬としては、もともと獣医用に開発されたイベルメクチンが近年ヒトの疥癬治療に承認され、高リスク群にも有効です。

米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、OTC(店頭販売)製品で疥癬を根治できるものは認められていません。かゆみ緩和にはベナドリル(ジフェンヒドラミン)やカラミンローションが使用されます。

エトフェンプロックスは農薬として米・果物・野菜・トウモロコシ・大豆・茶葉などの作物に使用され、蛾類、アブラムシ、カブトムシ、ハチ、シロアリなどに有効ですが、疥癬ダニに対する効果は確認されておらず、使用は推奨されません。また、ヒトへの発癌性が議論されているため、他に適切な駆除手段がある場合は避けるべきです。

疥癬治療後の清掃

治療が完了した後も、住環境の徹底的な清掃が必要です。家族全員が同時に治療を受け、寝具・衣類・タオルは高温(60℃ 以上)の水で複数回洗濯します。家具や床、カーペットは専門業者による処理が望ましく、浴室や硬い床面は消毒剤で拭き取ります。