ブレストマイコシス(芽球症)
ブレストマイコシスは、ブレストマイセス・ダーモティティスという真菌が原因で起こる真菌感染症です。主に北米のミシシッピ川、ミズーリ川、オハイオ川などの大河流域で見られ、腐敗した植物や湿った土壌で繁殖します。免疫力が低下している人や、キャンプ・農業・狩猟などで野外に長時間いる人が感染しやすいです。
頻度
ブレストマイコシスは重篤な疾患ですが、発生頻度は低いです。メリーランド大学医学センターの推計では、真菌が多く生息する地域では10万人あたり1〜2人程度が罹患するとされています。その他の地域ではさらに少ないです。
症状
感染後3〜15週間は無症状のことが多いです。肺に限局した場合は症状が出ないこともありますが、治療しないと肺に留まらず全身へ広がります。
CDCによれば、感染者の約半数が症状を示し、呼吸困難、咳、過度の発汗、悪寒、発熱、関節痛などがあります。重症例では皮膚や骨に病変ができ、泌尿器系や前立腺に合併症が起こることもあります。真菌が中枢神経系に達すると髄膜炎を起こし、頭痛や意識混濁が見られます。
診断
診断は、感染組織の生検や体液サンプルの培養で行います。血液検査は信頼性が低いです。胸部X線検査が補助的に用いられることがあります。
治療
肺に限局した軽症は自然に改善することもありますが、他臓器へ拡散した場合は重篤化し死亡することがあります。標準治療は抗真菌薬で、経口薬としてケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾールがあり、頑固な感染には静脈投与のアンフォテリシンBが使用されます。
これらの薬剤は副作用があり、アンフォテリシンBは腎障害、経口薬は肝障害や胃腸症状を引き起こすことがあります。
予後
軽度の肺感染や皮膚病変の場合、適切な治療により完全回復が期待でき、予後は良好です。
予防・対策
CDCは、真菌が多く分布する地域では完全に曝露を避けることは難しいとしています。濡れた土壌や腐敗植物が多い場所への立ち入りを控えることが最も有効な予防策です。
