猫から人間に感染する代表的な疾患

動物から人へ移る感染症は「人獣共通感染症(zoonotic disease)」と呼ばれ、細菌・真菌・ウイルスなどが原因です。世界保健機関(WHO)によると、ヒトの感染症の約61%が人獣共通感染症です。猫はさまざまな病原体の保有者で、特にトキソプラズマ症や猫ひっかき熱がよく知られています。

トキソプラズマ症(Toxoplasmosis)

トキソプラズマ症は単細胞寄生虫 Toxoplasma gondii が原因です。猫は感染した獲物や汚染された土壌を摂取することで寄生虫を体内に取り込みます。健康な成人は症状が出ないことが多いですが、免疫力が低下した人や妊婦は発熱、リンパ節腫脹、筋肉痛などの症状を起こすことがあります。特に妊婦は感染すると胎児に深刻な影響を与えるため、妊娠中は猫のトイレを扱わないことが推奨されています。

猫ひっかき熱(Cat‑Scratch Disease)

猫ひっかき熱は Bartonella henselae という細菌が原因で、主に子猫の噛み傷や引っかき傷から感染します。感染した猫は通常症状を示さないため、飼い主は気付かないことが多いです。人が傷口から細菌に接触すると、発熱、頭痛、リンパ節の腫れ、倦怠感などのインフルエンザ様症状が現れます。傷口が化膿したり症状が長引く場合は、早めに医療機関を受診してください。

リングワーム(Ringworm)

リングワームは真菌(カビ)による皮膚感染症で、虫が原因という誤解があります。子猫や子犬が保菌者になることが多く、触れ合いや遊びの際に真菌が皮膚に移ります。感染すると、赤く盛り上がった円形のかゆみを伴う発疹が現れます。治療には抗真菌薬の外用または内服が必要です。

カンピロバクター感染症(Campylobacter Infection)

カンピロバクターは Campylobacter jejuni や Campylobacter coli といった細菌で、猫が保菌者でも症状が出ないことがあります。感染した糞便に触れた手で口に入ると、激しい水様性下痢(血が混じることも)や発熱、腹痛、嘔吐が起こります。稀に感染後約2週間でギラン・バレー症候群という神経障害が発症することがあります。手洗いを徹底し、調理前後の衛生管理が重要です。

フックワーム感染症(Hookworm Infection)

フックワームは回虫類の寄生虫で、特に子猫や子犬が感染しやすいです。糞便に含まれる卵が土壌やリットに孵化し、そこから皮膚に侵入します。人が感染すると、腸内で血液を吸収し、貧血や腹部の痙攣、炎症を引き起こすことがあります。屋外での遊びや庭の土を触った後は必ず手を洗い、ペットの定期的な駆虫が予防の鍵です。

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