14世紀に黒死病の影響を受けた地域はどこか?
黒死病(ペスト)の概要
黒死病(ブラックデス)は、人類史上最も壊滅的なパンデミックのひとつで、14世紀に約7500万人から2億人が死亡したと推定されています。
1. ヨーロッパ
1347年にクリミアとゴールデン・ホルドで発生したペストは、同年10月にジェノバの交易船がイタリア半島へ持ち込んだと考えられています。1348年1月、黒海から来たジェノバ船がシチリア・メッシーナ港に到着し、乗組員の一部が既に感染して死亡、残りが港全体に感染を拡大させました。その後、イタリア本土、フランス、スペイン、ポルトガルへと広がり、同年にイングランドにも到達し、北西ヨーロッパ全体に波及しました。1353年にはモスクワにまで達し、西側は1351年、東側は1353年にほぼ収束しました。
2. 北アフリカ
エジプトやチュニジアを含む北アフリカ沿岸全域で流行し、モロッコにも及びました。沿岸地域では人口の約25%が死亡したとされています。
3. 西アジア
1348年にタブリーズ、1349年にモスル、1349〜1350年の冬にバグダッド、1351年にアレッポとガザに到達しました。特にマムルーク朝のガザやエルサレムが深刻な被害を受け、1349年8〜10月のハッジ(巡礼)期間中にメッカへも広がった可能性があります。この巡礼には中東だけでなく東南アジアやアフリカからの参加者も含まれていました。
4. 中央アジア
現在のアゼルバイジャンやアルメニア地域でも流行し、地域経済や社会構造に大きな混乱をもたらしました。
5. 南アジア
1347〜1348年に中央アジアの交易路を通じてインド亜大陸に侵入し、1349年までにシンドやデカン地方を壊滅させ、1351年にはデリーに達しました。マドゥライ・スルタン朝でも多数の死者が出て、いくつかの地域は放棄されました。
6. 東南アジア
1347年後半から1348年初頭にかけて中東の港湾都市アデンに到達し、その後マレー諸島へと拡散しました。特にジャワ島とスマトラ島で大規模な死亡が報告され、1年以内に数百万人が死亡したと推測されています。1348年には東ジャワのグレシク港を経由して現在のインドネシアへ入ったと考えられ、マジャパヒト帝国でも王族が多数罹患し、トリブワナ・ウィジャヤトゥンガデウィ王や皇太子ハヤム・ウルクが死亡しました。
