自然選択はなぜ嚢胞性線維症の対立遺伝子を完全に除去できないのか

嚢胞性線維症(CF)とは

CFはCFTR遺伝子の変異により引き起こされる遺伝性疾患です。変異したCFTRタンパク質が機能しないため、肺や消化管、その他の臓器に粘液が過剰に蓄積し、呼吸器症状、消化器症状、不妊など多様な症状を呈します。

遺伝様式:常染色体劣性遺伝

CFは劣性遺伝疾患で、子どもが発症するには両親がそれぞれ欠損したCFTR遺伝子を保有している必要があります。片方だけが保有している場合、子どもはキャリア(保因者)となりますが、症状は出ません。

自然選択とCF遺伝子

自然選択は環境に適応した個体が生存・繁殖しやすくなるプロセスです。CFの欠損遺伝子は感染症や呼吸不全への感受性を高めるため、疾患を持つ個体は一般に生存率・繁殖率が低く、結果として集団内でその遺伝子頻度は時間とともに減少します。

なぜ完全に除去されないのか

しかし、CFは劣性遺伝であるため、保因者は症状がなくとも子どもを産むことができます。保因者同士が交配すれば、25%の確率で子どもがCFを発症します。このように、症状を示さない保因者が遺伝子を次世代に伝えるため、欠損アレルは完全には消失しません。

医療の進歩が与える影響

近年の医療技術の向上により、CF患者の平均余命は大幅に伸びました。長く生きることで、自然妊娠や体外受精などの補助生殖技術を利用して子どもを持つ機会が増え、欠損遺伝子が次世代へ受け継がれるケースが増加しています。

まとめ

自然選択はCF遺伝子の頻度を低下させますが、劣性遺伝という特性と医療・生殖技術の進展により、完全に除去されることはありません。集団内での頻度は徐々に減少し続けています。

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