子どものリウマチ性心臓疾患
概要
リウマチ性心臓疾患は、A群溶血性レンサ球菌(GAS)による咽頭炎(いわゆる溶連菌性咽頭炎)が適切に抗生物質で治療されなかった場合に起こるリウマチ熱が原因で、心臓弁に永続的な損傷を与える疾患です。米国心臓協会によると、リウマチ熱は主に5〜15歳の子どもに多く見られ、予防と早期治療が重要です。
歴史
1950年代にペニシリンが普及したことで、リウマチ性心臓疾患の発症数は大幅に減少しました。米国では1950年に約15,000人が死亡したのに対し、2005年には3,365人にまで減少しました。しかし、開発途上国では依然として若年層の心臓死の主要因となっています。
症状
溶連菌性咽頭炎の典型的な症状は、急な喉の痛み、嚥下時の痛み、頭痛、発熱、喉や扁桃の紅斑、腹痛、嘔吐などです。
リウマチ熱が起こると、関節の痛み・腫脹・紅斑、関節痛が移動性で現れるほか、息切れ、皮疹、倦怠感、発熱、皮下に無痛の結節が出ることがあります。これらは咽頭炎から約2〜3週間後に出現します。
炎症が心臓弁に及ぶと、永続的な瘢痕が残り、胸痛、めまい、息切れなどの心臓症状が現れます。
診断
咽頭培養でA群溶血性レンサ球菌の有無を確定します。医師は症状から疑い、必要に応じて迅速抗原検査を行います。リウマチ熱は臨床症状とジャルジーノ基準で診断され、リウマチ性心臓疾患が疑われる場合は心臓超音波検査(エコー)や心雑音の聴診が行われます。
治療
溶連菌性咽頭炎には適切な抗生物質(例:ペニシリン系)を投与し、感染を速やかに除去します。
リウマチ熱が発症した場合は、長時間作用型抗生物質の注射と高用量の抗炎症薬(アスピリンやステロイド)を併用し、安静を指示します。心臓炎が疑われる場合は、ベッドレスト(トイレ以外は起き上がらない)を徹底します。再発防止のため、長期にわたる抗生物質投与が必要になることがあります。
リウマチ性心臓疾患の治療は、弁の損傷程度に応じて以下のように分かれます。
- 軽度の場合は定期的な経過観察と抗生物質予防投与。
- 中等度の場合は薬物療法(抗凝固薬や抗炎症薬)。
- 重度の場合は弁置換術やステント留置など外科的介入が必要です。
注意点・予防
抗生物質は溶連菌性咽頭炎に対して極めて有効です。子どもが喉の痛みを訴えたら速やかに医師を受診し、処方された抗生物質を指示通りに完遂させることが重要です。リウマチ性心臓疾患は適切な治療で完全に予防可能です。
