高血圧(血圧が常に高い状態)が長期間続くと、酸化ストレスが生じ、DNAに直接的な損傷が起こります。酸素や活性酸素種が過剰になることで、DNAの塩基や鎖が変化し、様々な臓器で機能障害が進行します。
動脈への損傷
高血圧で最も頻繁に見られるのは動脈の損傷です。酸化ストレスによりDNAに病変や二本鎖切断が起こり、血管壁の平滑筋細胞の機能が低下します。その結果、動脈硬化が進行し、血管壁が肥厚します。
心筋への損傷
高血圧が長期間続くと、心筋細胞(心筋細胞)のDNAも酸化的に損傷を受けます。DNA損傷に伴い細胞が肥大し、柔軟性が失われ、心臓のポンプ機能が低下します。
血管系への損傷
血圧上昇は血管自体のDNAにもダメージを与え、血管収縮(血管痙攣)や血管内皮の機能障害を引き起こします。これが血管の狭窄や硬化につながります。
免疫系への損傷
高血圧により白血球の一種であるリンパ球のDNAが損傷すると、免疫応答が低下します。また、リンパ球の損傷は臓器壁の肥厚(同心性肥大)を助長することがあります。
腎臓への損傷
腎臓の糸球体や尿細管の細胞でも酸化ストレスがDNA損傷を引き起こし、細胞膜やDNA鎖が切断されます。結果として糸球体濾過機能が低下し、腎不全へと進行するリスクが高まります。
考慮すべき点
DNAが損傷しても、体内には修復酵素が備わっており、損傷を修復できる可能性があります。近年の研究では、DNA修復を促進する薬剤や遺伝子治療の開発が進んでおり、将来的に高血圧による遺伝子損傷の治療が期待されています。
