妊娠高血圧の治療法とは

治療が必要な理由

妊娠高血圧は胎盤への血流を減少させ、胎児への酸素・栄養供給が不足します。その結果、胎児の成長が遅れ、低体重児になるリスクが高まります。また、胎盤早期剥離や子癇前症(プレエクラメプシア)といった重篤な合併症の危険性も増します。母体においては、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇し、将来的に糖尿病、心臓病、腎臓病、慢性高血圧を発症しやすくなります。適切なモニタリングと治療により、これらのリスクは大幅に低減できます。

軽症の場合の治療

軽度の妊娠高血圧では、まず安静(昼寝や数日間のベッドレスト)と低ナトリウム食が推奨されます。血圧が安定すればこれだけで十分なこともありますが、通常は妊婦健診の頻度を増やし、血圧と尿中タンパクを定期的にチェックします。自宅での管理が難しい場合や血圧が改善しない場合は、入院して集中的に管理することがあります。

モニタリングと診断検査

自宅でできるモニタリングとして、胎動の回数を毎日一定時間数える方法があります。また、24時間尿検査でタンパク尿を詳しく調べることも行われます。医療機関では、血圧測定・尿検査に加えて、胎児の成長・発育・羊水量を確認する超音波検査を3週間ごとに実施します。非ストレステスト(NST)や生体画像評価(BPP)も、胎児の健康状態を評価するために週1回~2回行われます。

薬物療法

妊娠中の薬は胎児への影響が懸念されるため、まずは生活指導で血圧コントロールを試みます。どうしても血圧が下がらない場合は、妊娠安全とされる降圧薬(例:メチルドパ、ラベタロール、ラベタロール)を最低有効量で処方します。ACE阻害薬、ARB、レニン阻害薬は禁忌です。処方された薬は医師の指示通りに服用し、自己判断で中止・増減しないことが重要です。近年、低用量アスピリンが子癇前症の予防に有効との報告もありますが、確固たるエビデンスが得られるまで追加研究が必要です。

重症の場合の治療

血圧が160/110 mmHg以上といった重症例では、入院管理と薬物治療が必須です。胎児が十分に成熟していれば、帝王切開や陣痛誘発による早産が検討されます。妊娠34週未満で血圧がコントロールできる場合は、胎児の肺成熟を促すステロイド投与が行われます。母体・胎児の状態が急変し、生命に危険が及ぶと判断された場合は、胎児の成熟度に関わらず早産が選択されます。

緊急対応が必要な症状

子癇前症の疑いがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。主な症状は、持続的または激しい頭痛、視覚障害、むくみの急激な悪化、体重増加、上腹部の痛み・圧痛、嘔吐です。胎盤早期剥離が疑われる場合は、子宮の痛み・圧痛や膣からの出血・点状出血が見られます。いずれも母子の生命を脅かす緊急事態ですので、速やかな治療が必要です。

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